タイム・リープ―あしたはきのう
特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
- 作者: 高畑京一郎
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 1995/06
- メディア: 単行本
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登場人物が高校生であり、これを初めて読んだのは高校生活に憧れる中学生だったわけですから。
もともとSF、特に時間軸に関するものへの興味が深かった私としては、「タイムスリップ」ではなく「タイムリープ」を題材としたこの作品にはかなりのめり込みました。
特に主人公鹿島翔香の視点で描かれるこの作品の場合、火曜日が土曜日の前に来るという保証がないから、
「(日曜日スタートとして)土曜日に他人から火曜日の話を聞いた後、自分はその火曜日を経験する」
なんて事にもなるわけで、当人と第三者の時間軸が並行しないことになるわけですよ。
それでいて、意識のみが時間軸を行き来するから「タイムスリップ」とは違って物理的制約が大きいのも物語を面白くする要素だったりもします。
いかに過去の自分(普通の時間軸では未来)に情報を残せるか、そしてそれを信じさせるかが生き残るミソ。
友人らがもたらす伏線が何を意味するのか、読み進めるごとに明かされる真実に時間も忘れて読みふけってしまいました。
高畑京一郎作品は他にも、RPG要素の強い「クリス・クロス」、2人の主人公からの視点で描く「ダブル・キャスト」など、SF好きにはたまらない作品が多いですが、どれが一番良かったか、と聞かれるとやっぱりこの作品が一番良かったって今でも思ってます。
そういう意味では、QMAでクロノマンサー使いになったのも必然だったのかもしれませんね(笑)